どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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『恋愛時代』(2015年4月2日~6月18日)は野沢尚さんの世界観を継承できていたか?

      2015/07/29

深夜の「木曜ドラマ」枠で放送された、野沢尚さんの恋愛小説を原作とした『恋愛時代』(読売テレビ・日本テレビ系)。原作は1996年に発表され、翌年に第4回島清恋愛文学賞という、あまり聞き慣れない賞を受賞したことは知っていましたが、読んではいませんでした。

よって、Amazonなどのレビューでしか原作の雰囲気を把握していないのですが、野沢尚さんの1990年代の作風としては、比較的テンポのゆるい、ライトなものだったようです。ただ、後半には疾走感と感動が待っている、と。

一方で、主人公たちの「茶番」に周囲が振り回されただけだという批判も少なくありませんでした。これには、ドラマを完走した私も同感です。しかしこれこそ「野沢ワールド」の真骨頂です。初めて連続ドラマとして脚本を手がけた『親愛なる者へ』(1992年・フジテレビ系)から、夫婦の再生物語という観点においては、基本的な構造は変わっていません。

人は自らの幸せのために多かれ少なかれ周りを犠牲にする生き物である、という点を認めて覚悟を決めて生き続けることが大事だと、野沢さんはいつも考えていたはずだからです(その意味で、やはり自死を選んだことは一時の気の迷いだったと信じたいわけですが)。

そのコンセプトに基づいて、ドラマとして描いた場合に、少なくとも一回見ただけでは「登場人物たちの独善性」を、視聴者に気づかせないテクニックや説得力が野沢脚本にはあったのですが、今回脚本を担当した藤井清美さんにはやや足りなかったように感じました。もちろん、原作者の思いの全てを汲み取ることはもともと簡単なことではないけれども。



一番のキモは、第11話の、主人公二人(衛藤 はる=演・比嘉愛未さん、早勢 理一郎=演・満島真之介さん)の絆を引き裂いてしまった、死産にまつわる真実が明かされたシーン。原作がどうだったか知らないので正確な批判にはなり得ませんが、もっともっと感動的な場面に仕上げられたのではないでしょうか。これには役者の力や演出家の力も大きく関わってはきますが。

もう一つの要素として、サントラ(BGM)はしっかりと機能していたのかという疑問もあります。全体的にコミカルな曲が多かったですよね。当然、シリアスなシーンにそれらを使うことはありませんでしたが、主題歌『ありがとうForever…』(歌・作詞・作曲/西内まりや)とのギャップが大きい曲が使われすぎだと感じました。逆に言えば、この主題歌があったおかげで、ドラマ作品としてかなり救われていたように思えました。

それにしても西内まりやさんはまだ21歳ですか。よくあれほど壮大なバラードを作り上げられましたね。女優でもあるということなら、出演してみても面白かったのでは? 『親愛なる者へ』の主題歌を歌った中島みゆきさんがドラマに特別出演したように。例えば、はるの妹役だったら、長身姉妹として成立したような気もします。

難点をもう一つ言えば、主人公たちに最終回まで役名のテロップを表示していたのは視聴者に失礼だと感じました。そんなに物覚えの悪い視聴者はいませんよ。

いろいろと批判してきましたが、大石吾朗さんが演じた、はるの父(衛藤 銀一)のラジオでの呼びかけ、

「その人ばぁ、好いとっとね?」(※長崎弁)

「好きならその気持ちを大事にしなさい」

「そのことで誰かが傷ついたとしても、他の人の気持ちまで、お前が全部背負う必要はない」

「な、はる?」

のシーンはグッと来ました。はるは娘であることを隠して、父親が担当するラジオ番組に何度か相談を持ち掛けていたわけですが、父はいつからか気づいていたのです。その明かし方としては、とても良い形だったと思います。

蛇足ですが、満島真之介さんは顔と声が勝村政信さんにそっくり! このドラマで見た限りでは髪型も。このそっくりさを活かして何かドラマが作れそう。

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