どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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『それでも、生きてゆく』(2011年7月7日~・フジテレビ系)は、こんな感じで続けてゆく?

      2015/07/17

脚本家・坂元裕二さんは、1991年1月~3月の『東京ラブストーリー』(フジテレビ、原作・柴門ふみさん)以後、連続ドラマでは大きなヒット作がなく、私の中ではオリジナル作品は苦手な人という印象でした。

例えば、2004年10月~12月の『ラストクリスマス』(フジテレビ)は高視聴率でしたが、これは企画の大多亮氏が実質的な原作者のように思われます。また、1992年10月~12月の『二十歳の約束』(フジテレビ)では、斬新な演出と時代錯誤的なセリフ回しが、ある意味でヒットしましたが、これも大河ロマン漫画『愛と誠』(梶原一騎・原作、ながやす巧・画/連載1973年~1976年)の影響を強く受けているので、置いておきます。

そんな中、2007年4月~6月の『わたしたちの教科書』(フジテレビ)で、丁寧な筆致で事件や人間心理を描き、視聴率は高くなかったけれど、優れたテレビドラマの脚本家に与えられる向田邦子賞を受賞するなど評価は高かったため、オリジナル作品の一つの方向性を見つけたように考えられます。すなわち、少年少女の犯罪心理や親子関係、母性、いじめ、虐待などをテーマに描くことです。それが、2010年4月~6月の『Mother』(日本テレビ)、今回の『それでも、生きてゆく』(フジテレビ)に続いていくのです。

しかし、私見では坂元さんは連続ドラマの初回の展開が上手いとは言えず、それが大抵2回目以降の視聴率が落ちる傾向にある原因だと思います(これはオリジナル作品についての話。もちろん、『Mother』のように最終回にかけて上昇するケースもなくはない)。特に今回の『それでも、生きてゆく』は、加害者家族と被害者家族を丹念に描いていくだろう興味深いテーマだけれども、初回はあまりに重く痛い内容で、かつまた人物の関係も無駄に分かりづらく、またもや“視聴率は高くなかったけれど評価は高い”作品になってしまうような気がしてなりません。

例えば、瑛太さんと満島ひかりさんの会話での「語尾に“スカ”を付ける台詞の応酬」、過度なぎこちなさ、は見ていてイライラしました。また満島さんの過度にオドオドした表情は救いがなかったです。この救いようのなさは、1996年7月~9月の、当時若手人気ナンバーワン女優だった内田有紀さんと人気絶頂前の反町隆史さんを主演に起用してコケた月9ドラマ『翼をください!』(フジテレビ)を彷彿とさせます。以上の点は2回目以降に対する伏線ならば、何かヒントを示すべきです。

また、これは演出とも関係するのですが、柄本明さんの少年Aに復讐するつもりだと告白する迫真のシーンは、せっかくの熱演だったのですが、柄本さんが病弱という設定と、柄本さんの元々の声の聞き取りづらさのため、ほとんど何を言ってるか分からなかったです。だから、柄本さんが死んだ後に葬儀のシーンになり、遺影が柄本さんでなく、でんでんさんだったので意味が分かりませんでした(よく見返してみると、保護司=でんでんさんの葬儀だと分かった)。しかし、初めから、脚本の上で柄本さんをこの時点で死んだことにしなければ、こんな混乱は生じなかったのではないでしょうか。

連続ドラマは最後まで見て評価をすべきという意見もあるでしょうが、まずは最後まで見せ続けるための努力を、特に初回に、怠ってはいけないのです。それにしても、瑛太さんの喪服に黄色い靴下の取り合わせって……。黄色に意味が無いとしたら単にダサいだけになってしまいますが……。

 

その他、ハイパーリンク的な疑問や気付きを記します。

主題歌は小田和正さんですが、加害者家族の苦悩を描いた映画『手紙』(2006年)の重要なシーンで流れていたのも小田さんの曲で、「言葉にできない」。手紙は他局であるTBSの生野慈朗さんが監督だったのですが、何か意識しているのでしょうか。

このドラマで音楽を担当しているのは辻井伸行さんですが、辻井さんのオリジナル曲でないクラシック曲もいくつか使用されていました。例えばショパンの「雨だれ」(Op.28-15。「24の前奏曲」より)。そして気になったのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第2楽章。確か初回では2回流れていたと思います。この曲は『わたしたちの教科書』でも頻繁に使用されていましたが、何か意識しているのでしょうか。

そういえば『わたしたちの教科書』→→『Mother』のハイパーリンクと言えば、「しりとり」がありましたね。『わたしたちの教科書』では要所要所で明日香(志田未来さん)と朋美(谷村美月さん)の間で、『Mother』では第2話の、つぐみ(芦田愛菜さん)とももこ先生(高田敏江さん)との間、つぐみとうっかりさん(田中裕子さん)との間で登場していました。

『わたしたちの教科書』の最終回で、加地耕平(伊藤淳史さん)が次のように語っています。

「時々、想像することがあります。学校から、社会から、いじめや自殺がなくなる特効薬を誰かが発明するんです」「その時、学校はどうなってるんだろう、世界はどんな姿をしてるんだろう、僕たちはどうしてるんだろうって…、想像します。でも、何も思い浮かびません」「頭の中が真っ白になります。人はこのまま問題を抱えながら、それでも、生きてゆくしかないのかって」

ともあれ、『わたしたちの教科書』では、志田未来(目力の強さ!)、『Mother』では芦田愛菜という天才子役にも恵まれていたのですが、今回はそのような存在は現れるのでしょうか。

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