どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

*

『振り返れば奴がいる』の名台詞を振り返る/第六回 「過去に何があった」(1993年2月17日)

      2015/07/17

前回、3月に『振り返れば奴がいる』の記事を書いてから、何度か「フリヤツ」を見直し、この三谷幸喜さん脚本のドラマの名台詞を記録しておくべきだという義務感が湧いてきました。よって、ここに記すことにします。

その第六回です。

※一応、時間も表記しますが、CMを除いた大まかな経過時間です。
※なお、私が参考にしたのは再放送分なので、カットされた部分があると思われます。ご了承ください。

参考資料『月刊ドラマ』(映人社、1993年3月号) ※第一回~三回の掲載シナリオ

■第六回 「過去に何があった」

司馬 江太郎(27)……織田裕二さん
石川 玄(27)……石黒賢さん
大槻 沢子(26)……千堂あきほさん
峰 春美(25)……松下由樹さん
中川 淳一(45)……鹿賀丈史さん
×   ×   ×   ×
平賀 友一(35)……西村雅彦さん
前野 健次(26)……川上たけしさん

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

●1:28~
中川「司馬くんが骨おってくれましてね」
石川「司馬先生が?」
中川「うん。彼もいろいろ修羅場をくぐり抜けてきてるからねえ、こういう時には非常に頼りになりますね。お礼言っといてくださいね」
 

※中川は司馬の医療技術以外の“スキル”を、仕方なく黙認していたのかと思っていたら、頼りにもしていたのですね。ならば、簡単に手放せないのも納得せざるをえません。

●7:32~
司馬「今、お前が自分のミスを認めれば、遺族は一生お前を恨んでいくんだぞ。それが遺族のためか? お前の、気が済むだけだろ?」
峰「司馬先生」
石川「もういいよ。……いろいろありがとう。骨を折ってくれたそうで……、部長から聞いた」
司馬「お互い様だろ、困った時は」
 

※完全に石川より優位に立った司馬。石川に優しい言葉をかける余裕すら見せています。

●9:50~
司馬「あ、平賀先生。医局へ戻る?」
平賀「ああ」
司馬「僕の机の上に置いといてもらえますか」
平賀「……(受け取る)」
(平賀、医局へ移動する。)
平賀「ふざけんな!」
前野「何かあったんですか?」
平賀「司馬くんだよ」
前野「司馬先生が何か?」
平賀「参事になったからって図に乗ってるぞ、あいつは」
前野「そうですか」
平賀「あごで使われたよ。頭(あったま)来んな~」
 

※司馬の「医局へ戻る?」の言い方が実に心憎い。「戻りますか?」でも「戻ります?」でも「戻るの?」でもなく、「戻る?」がこの段階での司馬の成り上がり具合からは最適でしょうね。そしてその後の平賀の、陰ながらの憤慨ぶりも見事。前野は司馬派なので平賀の怒りにもさして関心がないようで、「そうですか」の言い方によく表れています。

●10:50~
沢子「けっこう引きずるタイプですね」
石川「……(苦笑)」
沢子「スパッと切り替えないと。……知ってました? ドクターが沈んでると、患者さんがみんな自分のことで悩んでるんじゃないかなって、不安に思うんですよ」
石川「……」
沢子「だから元気ださないと」
石川「……(微笑)」
 

※前回の「けっこう粘っこい性格?」に続いて、沢子の石川に関するコメントです。他人の性格を分析するのが好きなんでしょうか。それと、沢子は男勝りに見えて、けっこうマメに周囲を見渡して気遣いができる女性ですね。

●18:52~
峰「足、滑らしたんですか?」
司馬「うん……」
峰「ボーッとしてたんですか?」
司馬「誰かに落とされたような気もする」
峰「誰ですか?」
司馬「さあね」
峰「いっぱいいますからね、司馬先生を嫌いな人」
 

※峰が司馬の治療をしてあげているのは、第三回の暴行未遂を思い起こすとなかなかの驚きです。単純に吹っ切ったのか、怪我をした人間への憐れみか。いずれにしても、この場面に関しては司馬に嫌味を言えるくらいに強気になっています。

19:22
中川「災難だったよねえ」
司馬「はい」
中川「誰かが突き飛ばしたとなると、こりゃ問題だな。ねえ、平賀先生?」
平賀「はい」
中川「ちょっと当たってみてもらえますか?」
平賀「あの……、司馬先生に恨みをもっている人物ですか」
中川「えらい数だからねえ。絞り込むのは大変だけど」
平賀「心当たりを」
(※「探します」が省略されている)
中川「お願いします」
 

※この中川の言い方は、平賀に疑いをもっていると思って間違いないでしょうね。それにしても司馬先生、強がったりせずに誰かに落とされたとちゃんと報告しちゃうとは、弱い面もあるんですね。まさかこの時点から既に平賀をうまく利用してやろうという腹があって、中川の前で報告したんでしょうか。

●23:42~
峰「石川先生に頼んでみます」
司馬「お前いっつもそれだな。石川なしじゃ何にも出来ないか!」
 

※司馬の言い方はキツいですが、視聴者もいいかげん峰にしっかりしろと思っているでしょうね。

●27:21~
司馬「聞きましたよ」
中川「そう」
司馬「いいんですか」
中川「大丈夫でしょう」
司馬「前の時とは違いますよ」
中川「……」
司馬「僕は、そばにはいませんよ」
中川「……何年前の話をしてるんだ。君のオペの技術は僕ゆずりだっていうこと、忘れないようにね」
 

※体に傷を負った司馬、心に傷を負った石川に代わってオペをすることになった中川ですが、中川の過去を知る唯一の司馬は心配しています。その心配が純粋なものなのかは例によって量りかねますが。

●31:32~
司馬「いつまでシケたツラしてるんだ。そんなにみんなに同情してほしいか。……みんな腹の中じゃ呆れ返ってるのが分からないか? ――医者辞めろ。そんな甘ったれた男に命預ける奴がいるか? 辞めろ」
石川「違う」
司馬「何が違うんだ?」
石川「君には分からないよ」
司馬「……」
 

※これまた真意を推し量るのが難しいですが、青春ドラマなら、わざとキツいことを言って発破を掛けるというパターンなんでしょうね。とにかく、「シケたツラ」とか「腹の中」とかの言葉のチョイスが秀でています。

36:07
司馬「誰も頼んでない。担当医は峰先生だ」
石川「僕は彼女に頼まれたんだ。――よろしく」
司馬「……(オペを代わる)」
石川「言っておくけど僕には経験がない」
司馬「……」
石川「指示をよろしく」
 

※峰に説得されてオペに臨む決意をした石川です。今度ばかりは峰の医者としての未熟さがプラスに作用したようです。

●39:12~
石川「うまくいって良かった」
司馬「授業料払え」
石川「……ありがとう(と行く)」
 

※今回は文字通り「怪我の功名」なエピソードでした。それにしても司馬が石川にちゃんとした“冗談”を言ったのは初めてではないでしょうか。しかし金絡みの冗談であるところがさすが司馬です。

 - 振り返れば奴がいる ,