どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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『振り返れば奴がいる』の名台詞を振り返る/第四回「死にたがる患者」(1993年2月3日)

      2015/07/17

前回、3月に『振り返れば奴がいる』の記事を書いてから、何度か「フリヤツ」を見直し、この三谷幸喜さん脚本のドラマの名台詞を記録しておくべきだという義務感が湧いてきました。よって、ここに記すことにします。

その第四回です。

※一応、時間も表記しますが、CMを除いた大まかな経過時間です。
※なお、私が参考にしたのは再放送分なので、カットされた部分があると思われます。ご了承ください。

参考資料『月刊ドラマ』(映人社、1993年3月号) ※第一回~三回の掲載シナリオ

■第四回「追いつめる」

司馬 江太郎(27)……織田裕二さん
石川 玄(27)……石黒賢さん
大槻 沢子(26)……千堂あきほさん
峰 春美(25)……松下由樹さん
中川 淳一(45)……鹿賀丈史さん
×   ×   ×   ×
平賀 友一(35)……西村雅彦さん
トヤマ(?)社長(51)……渥美国泰さん(今年2月、他界されたそうです。合掌)

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●4:13~
中川「殴ったんだって? 聞いたよ。思いっきり決まったっつうじゃない。やるねえ。――いいんだよ、誰かがやんなきゃねぇ。ちょっといい気になりすぎてるからなぁ、あの男は。僕の理想はね、あなたと司馬くんがお互いに競い合いぶつかり合う。それが外科の活性化に結び付けば。そう思ってるわけ。いいライバルじゃないの。――切磋、琢磨。うーん、好きでねこの言葉が、うん。辞める必要まったくないと思いますよ」

※前回の懲罰委員会で司馬を免職に追い込めなかった責任を取ろうとした石川に対する中川の長台詞です。意外と深く外科のことを考えていたんですね。そして無闇矢鱈に司馬をかばうわけではないという複雑さも見せています。それにしても「切磋琢磨」、この言葉は私も大好きです。もしかしたらこのドラマの影響で好きになったのかもしれませんが。

●19:09~
平賀「まずいよこれは、はっきり言って。ムチャクチャ勘がいいんだよ、あの男は。カンファレンスで嘘のレントゲン写真使ったのがバレたりしたら――、もう……」
司馬「あなたが心配することじゃない」
平賀「とにかく、俺は降りるからな(と札束を司馬の前に置く)」
司馬「……人が来ますよ」
平賀「言っとくけど、泥沼にはまってるよ、君。――何とかしたほうがいいぞ」
司馬「……」

※この回から徐々に司馬と平賀の絡みが増えていきますね。平賀を演じる西村さんもご存知の通り個性的な演技をするので、印象深い台詞が多々あります。まずここでは「ムチャクチャ勘がいいんだよ」と「泥沼にはまってるよ」の喋り方に味わいがあります。

●21:58~
石川「君の診断に疑問点がある」

※「君の●●に疑問点がある」。ぜひとも日常生活で格好良く使ってみたいですね。

●26:57~
石川「今なら確実に助かるんだよ」
司馬「むこうの都合だってあるんだ。オペしてほしくない患者だっているんだよ、世の中には!」
石川「違う!」
司馬「違わない

石川「僕らは第一にクランケの命を考えるべきだ

司馬「似非(えせ)ヒューマニストがっ

石川「何だと……!」
中川「いいねーえ。丁々発止。いいねぇ、いいなぁ」

※中川部長、あなたのキャラクターが一番「いいなぁ」ですよ! この見応えのありまくるシーン、3人がかなり顔を近付けるのですが、鹿賀さんのあのノリに織田さんと石黒さんは吹き出さずに、すんなりOKに出来たのでしょうか?

●27:24~
司馬「何かって言うとクランケの命か。生きてりゃいいのか。お前みたいな医者がいるから、死にきれない患者がどんどん増えてるんだ」
石川「……」
司馬「体中にチューブ付けられてな。無理やり生かされる患者が増えてるんだよ!」

※何度か繰り返される司馬の安楽死や尊厳死に関する考え方です。この段階ではどういう経験からの信条なのか、本音を語っているのか、視聴者にはまだ分かりません。

●30:56~
石川「あなたは間違ってる。もっと……、もっと自分の体を大切にしてください。人の命より大事なものなんかないはずです。会社が何ですか。潰れたっていいじゃないですか。生きてればまた一からやり直せるじゃないですか」
トヤマ社長「簡単に言うね、君は。……これが私の生き方なんだ」

※若い頃は石川の意見に共鳴しましたが、大人になってから見ると、確かに石川は会社というものを簡単に考えすぎだとも思えてしまいます。石川は社会人の経験も臨床医の経験も短いので仕方ないのかもしれませんが。

●33:44~
沢子「多いのよ、昭和一桁の経営者によくあるタイプ。――ですよね?」
中川「良く言えば頑固。悪く言えば、ただの馬鹿です……」

※「良く言えば●●、悪く言えば、ただの●●です」も応用して使ってみたい台詞の一つです。ちなみにこのシーンの少し前にはケースワーカーの稲村(佐藤B作さん)もけっこう時間を使って社長に説得を試みますが、やや冗長に見えるので、三谷さんは時間を埋める苦肉の策として稲村まで出したんじゃないかと邪推してしまいました。

●35:19~
石川「いくらもらったんだ?」
司馬「何が?」
石川「いくらもらって外出を許可した?」
司馬「(沢子に)何か言ってるよ?」
石川「……信じられない」
沢子「お金のためじゃないんでしょう? 難しいオペをやってみたかったんでしょう?」
石川「……そうなのか?」
沢子「そういう人なんです」
司馬「(沢子の肩に手を回し)付き合ってたもんで――。何でも知ってるんだよ、この人は」
石川「……」
司馬「(沢子の顔を自分の方に向けさせて)――金のためだよ」
石川「……」

※沢子の肩や顔をほしいままにして石川を挑発する司馬の演出、恐れ入りました。「金のためだよ」という相変わらずの司馬の悪童ぶりですが、第四回にもなるともう視聴者も期待するようになっているんじゃないでしょうか。
それにしても、司馬は石川を始めとする他の医者とけっこう一緒のソファや近くのソファに座りますね。病院ならちょっと離れた場所にソファはいくらでもあるだろうに。寂しがり屋さんですね。

●39:08~
司馬「何グズグズやってるんだ」
石川「速くやればいいってものじゃない」
司馬「オペは速いに越したことはない」
石川「(ナースに)サンゼロシルク」
司馬「一分一秒を争ってるんだ」
石川「君こそ口を動かしてる暇があったら手を動かしたらどうなんだ」
司馬「――君を待ってるんだよ」

※一分一秒を争うのは患者のためなのか、それとも自身のスキルの証明のためか。あるいはその両方か。これも司馬の謎の部分の一つですよね。とりあえず第一回では前野(川上たけしさん)と手術時間の速さでお金を賭けていましたが。
なお、石川がナースに要求したのは手術用糸だと思うのですが、名称が「サンゼロシルク」で正しいのかネット上では確認できませんでした。私の推測は、30というサイズの糸で、聞き間違いを防ぐために「さんじゅう」とは言わず「ヒトゼロ(10)」、「フタゼロ(20)」、「サンゼロ(30)」と呼ぶのではないかと。

●41:55~
中川「司馬先生のメス裁きはどうでした?」
石川「あんな乱暴なオペは初めて見ました。――ただ、技術は、最高でした」

※「メス裁き」とは、中川部長、この後の台詞に対して絶妙の前フリをしますね。実は手術風景を見ていました? 石川の「ただ、●●は、最高でした」……、最高の返しです。

●42:36~
司馬「――悪かったな」
石川「オペ中にはよくあることだから。――それにわざとやったわけじゃないし」
司馬「――わざとなんだよ、それがさ」

※石川も、司馬の毒舌を見事に誘(いざな)いますよね。これこそ「わざとなんでしょ」と勘繰りたくなります。とにかく司馬にたっぷりとズームしての最後の台詞、そしてCHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」のイントロのイン。もう「キターー!!」って叫ぶしかないですよ。

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