どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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『振り返れば奴がいる』の名台詞を振り返る/第三回「追いつめる」(1993年1月27日)

      2015/07/17

前回、3月に『振り返れば奴がいる』の記事を書いてから、何度か「フリヤツ」を見直し、この三谷幸喜さん脚本のドラマの名台詞を記録しておくべきだという義務感が湧いてきました。よって、ここに記すことにします。

その第三回です。

第三回は皆さんご存知のスリリングな懲罰委員会がメインなので、全ての会話を書き起こしたいくらいなのですが、いろいろと問題があるので断念しました。

※一応、時間も表記しますが、CMを除いた大まかな経過時間です。
※なお、私が参考にしたのは再放送分なので、カットされた部分があると思われます。ご了承ください。

参考資料『月刊ドラマ』(映人社、1993年3月号) ※第一回~三回の掲載シナリオ


■第三回「追いつめる」

司馬 江太郎(27)……織田裕二さん
石川 玄(27)……石黒賢さん
大槻 沢子(26)……千堂あきほさん
峰 春美(25)……松下由樹さん
中川 淳一(45)……鹿賀丈史さん
×   ×   ×   ×
平賀 友一(35)……西村雅彦さん
稲村 寛(33)……佐藤B作さん
田村 のえ(26)……相原勇さん
内村 恵美(27)……宮地雅子さん
富川 千代(24)……建部和美さん

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●3:15~
石川「この病院は、僕が来たからにはもっともっと良くならなければなりません」

※「もっと」を2回も入れるとは、石川もなかなかの自信家ですね。「来たからには~」という言葉の流れが良いです。

●8:18~
司馬「おい。――やってくれるな。あの時、女がロビーで待ってたんだよ」
石川「委員会でお会いしましょう」

※冒頭から憎たらしさ全開の司馬です。しかし石川は懲罰委員会に賭けているので冷静に受け流します。

●9:27~
司馬「被告って何だ? ……俺か?」
千代「はい……」
のえ「(恵美に)剥がそう」
司馬「ねえ! このビックリマークはどういう意味?」

※このドラマの中の、司馬と石川の対決以外のシーンで印象深いものの上位に来るであろう有名なシーンの一つですよね。のえと恵美が剥がそうとした紙に書いてあった文字は「司馬医師糾弾! 司馬医師の疑惑究明 懲罰動議臨時委員会」です。「糾弾」の後のビックリマークがとても気になる司馬“被告”なのですが、なぜ気になったのか、本当、予測不能な人間です。ちなみに、私は看護師の中では千代(建部和美さん)がタイプです。

●17:08~
司馬「いろいろやってくれるな。迷惑してんだけどさ」
峰「そうですか」
司馬「無駄だよ、言っとくけど。委員会なんて俺は屁でもない。時間の無駄」
峰「離してください」
司馬「石川に惚れてんの? 利用されてるだけだよ」

※これまた有名な暴行未遂シーンの直前の会話です。司馬の目的は峰の口をふさぐことだと考えるのが自然ですが、それにしては時間が長すぎたような。司馬は抵抗が弱かったらどこまでいくつもりだったんでしょうか。まったく、司馬の心は読めない。

●21:13~
司馬「ひとつ。何がいけないんですか? ふたつ。君が言うことか?」

※懲罰委員会が始まりました。石川の追及にも冷静すぎる対応の司馬“被告”です。

●23:45~
司馬「事実無根だ。話おもしろくしてどうするんだ?」

※とうとう抗弁をやめて完全に開き直りモードの司馬です。まだ「物的証拠」が提示されていないからですけど。

●24:19~
峰「じゃあ何時何分に言ったんですか、はっきり言ってください!」
中川「ちょっと、ちょっと待ってよ。子供のケンカじゃないんだからさ、ねえ。何時何分が出てきちゃうとまずいでしょう」
平賀「ちょっと、まずいですね」
中川「今時うちの息子だって使わないよ」

※峰は先ほどの動揺が残っているので、子供みたいなことを言ってしまったのでしょうね。懲罰委員会委員長の平賀も当惑してしまいました。

●25:44~
中川「ちょちょ、ちょっと、あの。……あの、確認しときたいんだけどさ、二人のヨリは戻っちゃったの?」
沢子「……いいえ」
中川「ヨリは戻ってないのね?」
沢子「……ありません」
中川「分かりました」
石川「続けてよろしいですか?」
中川「どうぞ」

※中川部長、なぜそんなに気になる~? 司馬を守る立場として、委員会を深刻なものにしないための作戦ですか? 石川もちょっと迷惑そうにしてますよ!

●27:03~
沢子「クランケを死なせて、こたえないドクターなんていませんよ。司馬先生は自分に腹が立ったって言ってました。私もそう思います。だけどそれだけじゃない。この人は打算的で、平気で嘘もつくし、お金にも汚い、ひどい奴です。でも先生は誤解してます。デートの約束があるからって、早く帰りたいからって、クランケを見殺しにするようなそんな人じゃないんです。先生は、司馬と会ってまだ数週間です。私は……、5年付き合いました。その私が言うんです、間違いないと思います」
中川「うん。信じましょう」

※委員会の空気を一変させる沢子の司馬への応援演説です(BGM「歩くたびに透きとおる風 」も効果的!)。司馬を守りたい中川は渡りに船と、すぐに信じちゃいました。

●28:11~
峰「待ってください。大槻先生、あなた騙されてます」
中川「峰くん……」
峰「何で分かんないんですか。その男は……、その男は私に……、私に余計なことを喋るなって……、それでいきなり……! どうして分かんないんですか、どうしてそんな奴の肩もつんですか! その男は……!」
(司馬の暴行未遂シーン、挿入)
沢子「下がっていいですか」
中川「どうぞ」
峰「どうして……」

※峰が最後まで喋ったら司馬はかなり不利になっていたはずですが、それはないと確信した上で暴行未遂に及んだのでしょうか。沢子は委員会の前には「職場では公私混同してないつもりです」と宣言しましたが、峰の訴えにもこれ以上は関わろうとしません。さっきせっかく熱弁で司馬をフォローしたので、後には引けなくなってしまったのでしょうか。

●29:28~
中川「石川先生、もうこの話はね、結論出てるんだよ」
石川「ちょっと待ってください」
中川「(平賀に)委員長」
平賀「でも――」
中川「いや、もうこれ以上論議したって」
石川「重要な証拠なんです!」
中川「いやもう時間ない。タイム・イズ・オバッ」

※出ました、「オーバー」を歯切れよく言う、中川流の「オバッ」。鹿賀さんは微妙な言い回しで名言を作り出す名人です。

●33:52~
石川「だったらなぜ黙っていたんですか? 何かやましいことがあるから、口を閉ざしていたんじゃないですか?」
司馬「……忘れてました」
石川「(嘲笑して)そんな言い訳は通用しない。あなたは心電図が動くのを見て、これ以上関わり合うのが嫌だった、だから止めたんだ。蘇生したことを誰にも悟られずにスイッチを切った。――あなたはそれでもドクターか」
司馬「……」
(…中略

平賀「司馬先生、何か」
司馬「…………何も。――帰っていいですか?」
平賀「言っておく事はありませんか?」
司馬「……免職なら、免職でけっこうです。その代わり、早めにお願いします。こっちにも都合があるんで」

※司馬の「忘れてました」の言い方、開き直り具合が最高です。その後の石川の勝利を確信した一瞬の嘲笑いも見逃せません。そしてとどめの決め台詞、「それでもドクターか」。司馬もとうとう観念して免職に追い込むことができました。……と思ったのですが、後は皆さんご存知のように恵美の助け船で……。

●37:09~
稲村「これは異議ありだな! おかしいじゃないですか! こんな終わらし方でいいんですか! 部長! おかしいですよ! なあ? これいけませんよ! これ尾を引きますよ! 部長! おかしいな! こんなんじゃ駄目だよ!」

※脚本では稲村はここまで騒ぎ立てていません。演出家のアイデアかB作さんのアドリブか……。とにかく委員会が混乱して終わった様がよく表れています。

●41:26~
司馬「残念だったな。悔しいねぇー」
石川「……」
司馬「あ、そう。何て言ったっけ、あの研修医。峰くんだっけ? ――俺に惚れてるよ」
石川「(司馬を追いかけて振り向かせ、一発殴る)」
司馬「……(立ち上がり、数秒にらんで、行く)」

※かろうじて無罪を勝ち取ったはずの司馬ですが、早くも悪態モード復活です。峰の名前をちゃんと覚えていないふりまで加える意地悪さはさすがですね。この挑発にとうとう石川は鉄拳制裁を。ところで石川は司馬の発言の何にキレたんでしょうか? 峰のことが好きだから? 峰の尊厳が傷つけられたように感じたから?
ちなみに、脚本では、

司馬「あの時、女が下で待ってたんだ。そりゃ切るだろう」
石川「……」
司馬「死に損ないのジジイにかまってられるかよ」

という台詞になっており、患者が侮辱されたことにカッとして石川は殴り付けました。

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