どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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『振り返れば奴がいる』の名台詞を振り返る/第二回「おまえが殺したんだ」(1993年1月20日)

      2015/07/17

前回、3月に『振り返れば奴がいる』の記事を書いてから、何度か「フリヤツ」を見直し、この三谷幸喜さん脚本のドラマの名台詞を記録しておくべきだという義務感が湧いてきました。よって、ここに記すことにします。

その第二回です。

参考資料『月刊ドラマ』(映人社、1993年3月号) ※第一回~三回の掲載シナリオ

※一応、時間も表記しますが、CMを除いた大まかな経過時間です。
※なお、私が参考にしたのは再放送分なので、カットされた部分があると思われます。ご了承ください。

■第二回「おまえが殺したんだ」

司馬 江太郎(27)……織田裕二さん
石川 玄(27)……石黒賢さん
大槻 沢子(26)……千堂あきほさん
峰 春美(25)……松下由樹さん
中川 淳一(45)……鹿賀丈史さん
×   ×   ×   ×
星野 良子(27)……中村あずささん
神尾 仁……大森博さん

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●5:55~
沢子「司馬くん評判悪いよ」
司馬「何が?」
沢子「急患の時、いっつも遅れて来るって」
司馬「急いで来たって死ぬ奴は死ぬよ」

※徐々に司馬の医者としてのスタンスが明かされていきます。沢子は司馬を「司馬」「司馬くん」「司馬先生」と場面に応じて呼び分けます。

●10:02~
司馬「何人目だよ。―殺したの」

※落ち込む石川にキツい言葉を浴びせる司馬です。なかなかのSっ気ですね。

●14:20~
星野「ぬいぐるみ作戦、成功です。(…中略)え? ええ、10万円遣いました。あ、領収書ないですけど、何とかしてくださいね」

※さすが製薬会社の営業ですね。中川に取り入るために10万円もかけるなんて。でもここではキリのいい10万円より、7万とか8万の数字の方が良かったような。

●17:16~
司馬「マニュアル通りか」

※カンファレスでの一幕です。優等生の石川に軽いジャブを放ったという感じです。

●17:55~
司馬「石川先生は、何回あのクランケを殺せば気が済むのか、うかがってください」

※慇懃(いんぎん)に見せて無礼な言い回しは司馬の得意技ですね。これからどんどん出てきます。

●18:45~
峰「オペには反対です」
司馬「研修医」
峰「オペはギャンブルじゃないと思います」
司馬「研修医!」
峰「私だって会議に参加してるんです。発言する権利はあると思います」

※「研修医」の一言で言葉を遮ろうとする、見事な演出です(脚本では「研修医は黙ってろ」と「黙ってろ」が付いている)。織田さんの抑揚も卓越しています。

●19:12~
司馬「考えまとめてから喋れ、バカ!」

※「考えまとめてから~」という言い方が何だか好きです。

●19:20~
石川「僕らは確実に助ける方法を選ぶべきじゃないかな」
司馬「君が言ってるのは確実に死ぬ方法だろ」

※この二人は時々抑えたトーンでも言い争いをしますね。

●22:25~
沢子「対抗意識、燃やしちゃって、バカみたい」
司馬「お前なぁ」
沢子「良かったね、いいライバルが出来て」

※強気の司馬も交際していた沢子には弱い部分がありますね。

●25:47~
司馬「礼はする。欲しい物は?」
神尾「え?」
司馬「何でもいい。欲しい物」

神尾「急に言われても……」
司馬「テレビか、ゴルフセットか。何か一つくらいあんだろ!?」

神尾「天体望遠鏡……」
司馬「揃えてもらえますか?」
星野「はい」
神尾「あ……、ツァイスの180ミリのやつ」
星野「すぐに……」

※このドラマ内での初の明確なダークなシーンでしょうか。第一回でも司馬は金を受け取りましたが、要求したわけではないですからね。麻酔科医・神尾役の大森博さんが、司馬に振り回されるには丁度いい顔つきと背格好なんです。望遠鏡は「カール・ツァイス社」というドイツの会社が有名なんですね。星野も初めての対応ではないようで、冷静で肝が据わっています。

●26:52~
沢子「とんでもないこと言っていい?」
石川「何か?」
沢子「オペやってみない?」

※女性の口から「とんでもないこと言っていい?」と言われるとゾックゾクしますね。

●29:21~
司馬「お前に任せてたらクランケ死んじゃうよ」
石川「死なせはしない」

※「クランケ死んじゃうよ」という言い回しが妙に頭に残るんですよね。

●29:34~
司馬「どけ、手が汚れるだろ、どけ」
石川「オペはさせない(と突き飛ばす)」
司馬「どうすんだよ、手、汚れちゃったじゃないかよ」

※怒りながらも「汚れちゃった」って言い方が少しかわいい司馬です。

●30:48~
沢子「バカ言いなさいよ。石川先生の鼻明かすことしか考えてないじゃない。(石川に)先生も先生ですよ、意地になってどうするんですか」
石川「そういうわけじゃない」
沢子「どうしてクランケの立場になって考えないんですか。瀕死の患者の前で取っ組み合いなんて信じらんないよ!」

※毅然とした態度がよく映える沢子役の千堂さんです。この頃、『マジカル頭脳パワー!!』でも活躍していましたよね~。「信じらんないよ!」って男勝りな口調が素敵です。

●31:11~
沢子「決して楽観はできませんが、オペをやるなら今しかないということです。これ以上回復の見込みはないと思います」

※「●●をするなら●●しかない」という語順が好きです。

●36:38~
司馬「100%治るとは言わなかったぞ。手遅れだったよ。オペをしなくても明日までもったかどうか。まあどっちにしろ、今夜いっぱいの命だったってわけだ」
石川「君が殺したんだ」
司馬「違う」
石川「君が殺したんだ!」
司馬「お前だよ、殺したのは。最初の段階ですぐオペに踏み切ってりゃ助かってたんだよ。てめえが殺したんだよ」

※今まで言われっ放しだった石川が攻勢に回ります。しかし司馬も狡猾なので逃げ口上は用意していたわけです。保身のためか本音なのか分かりませんが。

●38:37~
沢子「落ち込むこともあるんだね」
司馬「誤解するな。クランケのことなんかどうでもいい。ヒューマンな先生はあの坊やだけで充分ですよ。……俺はただ……」
沢子「分かってるよ。自分に悔しいんでしょ。お見通しだよ、そんなの。帰ろう。一杯飲んでかない? ロビーで待ってる」

※結婚寸前までいった仲の沢子にはお見通しだそうです。しかし司馬は本当にクランケのことはどうでもよかったのでしょうか。今回のように、対等な人間に対して「充分ですよ」と急に丁寧口調になるような場面が司馬には多々あります。言葉の微妙な使い分けには三谷さんも織田さんも苦労したんじゃないでしょうか。もちろん三谷さんのシナリオが全て活かされたわけではないでしょうが(例えばこの場面は、脚本では「充分だ」でした)。

●42:23~
司馬「スイッチを切れ!」
峰「問題になります!」
司馬「ならねえよ。俺とお前が黙ってりゃな。――切れ」

※問題に……、なりますよね、普通。司馬はこの時点で既にかなりの修羅場をくぐってきていたのでしょうね。中川の庇護があればこそとはいえ。峰は短いセンテンスを叫んだ台詞に印象的なものが多いように思います。

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