どらま!ドラマ!DRAMA! 2nd Season

~日本のドラマ・映画、俳優・女優やシナリオライター(脚本家)などを徹底解剖~

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音楽家・吉俣良(よしまたりょう)の大河ドラマ『篤姫』までの一本の道

      2015/07/19

2008年、大ヒットしたNHK大河ドラマ『篤姫』

ですが私は結局ハマることはできませんでした。宮﨑あおいの熱演は伝わってきましたが、時々見て、私がイメージする大河とは少し違ったからです。動きが少ないというか、静かすぎるというか、物足りない感じがして。それでも、オープニングのテーマ曲の部分だけはけっこう見ていました。曲がとても気に入ったからです。

『独眼竜政宗』(1986)『武田信玄』(1987)に次ぐ良さでした。


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なお、私はテーマ曲と共にタイトルバックと(キャストやスタッフの)クレジットにも注目する質(たち)なのですが、『篤姫』では最終回のみ、クレジットをストップタイプから横スクロールに変え、そして、曲が一番盛り上がるところの、タイトルバックに「一本の道」が現れる場面で、その「一本の道」から光があふれ出るという変更をしていたのが、鳥肌ものでした。「やるじゃん、NHK!」と日本のすみっこで叫びました。

さて、『篤姫』の音楽を担当したのは吉俣良さん。私の知る限り、実力の割にはあまり認められてこなかった気がしていました。それは、私のお気に入りの劇伴、『眠れる森』(1998)、『リップスティック』(1999)、『太陽は沈まない』(2000)、『ロング・ラブレター~漂流教室~』(2002)などのサウンドトラックCDを見ても、吉俣さんの名前は前面に出てこなかったからです。「Ryo Yoshimata」表記をそっと添えてあるだけでは、どんな漢字かどんな人物か分かりませんでした。他の、例えば下記の人々がしっかり明記されているのを、吉俣さんはうらやましく思わないことはなかったのではないでしょうか?

 

★岩代太郎さん

『白線流し』(1996)、『真夏の薔薇』(1996)、『あぐり』(1997)、『WITH LOVE』(1998)、映画『レッドクリフ』(2008、2009)
☆『真夏の薔薇』のサウンドトラックは時があっという間に過ぎてしまうくらい名曲だらけ!

★日向敏文さん

『東京ラブストーリー』(1991)、『愛という名のもとに』(1992)、『ひとつ屋根の下』(1993)、『ひとつ屋根の下2』(1997)

★千住明さん

『高校教師』(1993、2003)、『家なき子』(1994)、『砂の器』(2004)、『仔犬のワルツ』(2004)
☆『仔犬のワルツ』の「GLORIA~希望の光~ Appassionata ver.」はその名の通り、情熱的で絶対的な存在感!
☆千住さんは脚本家・野島伸司の作品で数多く担当!
☆ドラマではないが、NHK教育テレビの教養番組『NHK人間大学』のテーマ曲は秀逸(曲の担当は1996~1999、番組自体は1992~1999まで放送)!

★S.E.N.S.(センス)

『振り返れば奴がいる』(1993)、『あすなろ白書』(1993)、『輝く季節の中で』(1995)、『青い鳥』(1997)、『神様、もう少しだけ』(1998)、『二千年の恋』(2000)
☆『あすなろ白書』所収の「レクイエム~行ってしまった朝~」を聴くと我々は音楽の圧倒的な力を前に立ち尽くすしかない!
☆1993年のオンワード「組曲」のCMソング「人と時と風の中へ」は空前絶後の名曲!
☆現在も一部地域で放送中と思われる、T&G(テイクアンドギヴ・ニーズ)提供のミニ番組『結婚式のキセキ』のテーマ曲「Little Miracles」(2005年のアルバム『HOTEL ASIA』所収)も幻想的で印象的!

★服部隆之さん

『王様のレストラン』(1995)、『HERO』(2001)、『華麗なる一族』(2007)

 

……それがやっと、『篤姫』でちゃんと認められた、一本の道を貫いて来てよかったですね、吉俣さん! と勝手に感動しています(余談ですが、『太陽は沈まない』〔2000〕のメインテーマ曲は映画『ニュー・シネマ・パラダイス』に雰囲気がとてもよく似ていて、フジテレビは「エンニオ・モリコーネ」に音楽を依頼したのか、と驚愕したものです)。

ところで、一般的な知名度・評価は今回大きく高まったと思われますが、以前から評価されるところではちゃんと評価されていたのです。角川書店の雑誌『ザテレビジョン』の3ヶ月(1クール)ごとに投票・発表される「ドラマアカデミー賞」内の「劇中音楽賞」を4回も獲っていたのですから(他の方との共同担当の作品もありますが)。個人的には『リップスティック』と『太陽は沈まない』が受賞していないのは残念でなりません。また、『眠れる森』の時は賞がなかったというのがもったいない。

この劇中音楽賞は1999年4月期~2004年10月期までの23回しかなかったので、約17%の確率での受賞です。しかもその内3回は連続受賞! 連続3回とは2002年1月期からの、『ロング・ラブレター~漂流教室~』、『空から降る一億の星』、『ランチの女王』。それ以外の1つは1999年10月期の『危険な関係』。

私はこの「ドラマアカデミー賞」を公平でとても権威あるものと考えており、見ている人はちゃんと見ているなと、改めて感心させられました。この「ドラマアカデミー賞」の1994年~2004年までの40回の歴史を振り返ることができる、『別冊ザテレビジョン 連ドラ10年史ドラマアカデミー賞10年プレイバック』というムックがあるのですが、定価でも1000円、古本ではたった数百円で入手することができます。ドラマ好きの方には永久保存版だと思うので、持っていない方はぜひぜひ購入してください。

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